麦草峠でハイポーズ!・第5話

W辺君のトラブル現場にようやく追いつく。 フロントのタイヤが完全につぶれている。 彼のタイヤはチューブラータイヤだ。 この大会前に新調したシマノ7850-c24-TUホイールにハッチンソン・カーボンコンプのタイヤをはかせた。 私はすぐさま声をかけた。「スペアに交換しよう!」 メカニックに変身だ! そう思った直後、彼が一言。 「持ってないよ…..。」  「マジで?」 この時レース前に準備している時の会話を思い出した。 「どうするスペア積んで行く?」 「いや、パンクしたら終わりでしょう。出来るだけ余分な物は置いていくよ。」 「そうだな、パンクしたら終わりだな。」 そう言って私もスペアチューブの入ったサドルバッグを外していたのだ。 過去の八ヶ岳でパンクの経験の無い私はこの時、大きな後悔をした。 他の選手がパンクしている姿は何度と無く目にしている。 しかし自分達がそうなることは先ず無いだろうと都合の良い考えに甘えていた。 さあ、どうしよう? 私はともかく、W辺君は昨年のこの大会で脚をつり、悔しい思いをしてから毎日過酷な練習を積み上げてきた。スタートからここまでも快調にクラブメンバーのI藤君をマークし順調だったと聞く。 既に私が到着するまでに15分が経っていたがそれでも諦めたくない。 声をかけた。 「俺のホイールに履き替えていけよ!・今からならまだ行けるよ!」 しかし彼は応えた。「それじゃ悪いよ。仕方が無いよ、残念だけどここで降りるよ。」 そう言った彼の眼差しは悔しさでいっぱいのように私は感じた。 くっそー、何とかならないものか? とその時、後方からラバネロのサポートカーが現れ、監督さんが声をかけてくれた。「どうした?もし良かったらホイールごと貸してもいいよ。後で駐車場に持ってきてくれれば!」 そういって心配そうに近づいてきてくれた。 有り難い。 と言う他何も無い。私はその言葉に感動した。 しかしW辺君は自分の力(装備)で走りきれないのなら….。 と言う思いだったのか、ホイールを借りようとはしない。監督さんはすかさずポンプを持ち出してくれた。「行ける所まで行ってみるか!?」 「有難うございます」 W辺君はポンプを借りてガンガンエアーを送り込む。 「どう? 駄目そう?」 「いやわかんない? でも行ける所まで行ってみるよ」 「よし解った。それなら俺は先に行ってるぞ。」ラバネロの監督さんに挨拶をして私は一足先に走り出す。 これで駄目なら無理やりにでも自分のホイールを履き替えさせようと考えながら間もなく来るはずのW辺君を気にしながら後ろを振り返る。サポートカーがすぐに追いついてきた。「先ほどはどうも。 大丈夫そうですかねえ?」 監督さんが応えてくれる。 「一つ後のカーブまで走ってきてるけど大丈夫かも。頑張って!」 「有難うございます。助かりました。」 サポートカーは行ってしまった。 この一瞬の出来事の中に感動と有難うが沢山詰まっていた。またとても勉強にもなった。わずか5分くらいの出来事だろう。 やがて彼の姿が力強いペダリングと共にグングン近づいてくる。 気になり後ろを振り返ったその瞬間。ジャジャ~ン♪  八ヶ岳の天使の登場!! (何の事じゃろう??) 天使はトラブルに諦めかけた自分の心に新しい光を差し込んでくれた。「ウッ、マブシイ」 心の中でそう叫んだ。W辺君を気にしつつ何度も振り返った。そのたびに天使は光を送ってくれた。そしてその天使は私の前を優しく過ぎ去って行った。「これはラバネロの神様と八ヶ岳の天使とのコラボレーションだ!」と勝手なことを思いながら追いついてきた彼と言葉を交わす。「大丈夫?」 「わかんないけど、とにかく行ってみる。駄目なら諦めるよ」 「わかった。でも諦めるな!・ガンガン行ってくれ!」 すると彼は「わかった」といって踏み込んだ。何とかゴールまで。と祈りながら彼の背中を見送った。確かトラブル中にM崎さんも通過して行ったし、これで俺の後ろにはクラブメンバーはいない。さあ、みんなが待ってるゴールを目指そう!

W辺君は無事ゴールまで走りました。 レース前にエアチェックをした際にフレンチバルブのコックを曲げてしまったようでバルブが閉まりきっていなかったようです。続きは次回ですが、ラバネロの監督さんには感謝の気持ちでいっぱいです。本当に有難うございました。 

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そうそう、実は八ヶ岳の天使、私だけでなくW辺君も出会ったそうです。私と彼にしか見えなかった幻なのでしょうか? 2人の宝物話になりそうです。

コメント / トラックバック 1 件

  1. admin より:

    やった、ピンチ脱出ですね。
    さあ、感動のゴールに向けて店長もダンシングだ!
    それにしても
    天使の正体が気になります!
    天使って・・・

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