麦草峠でハイポーズ!・第6話

個人的に八ヶ岳は3度目の参加だ。 一昨年、スタート前にかなりの雪が降っていた。あまりの悪天候に中止かと思いきや、コース短縮となり約16Km地点にあるスキー場(表彰会場)がゴールとなった。 今年はそのスキー場がハーフコースのゴール地点だ。 見えてきた。 心の中で「ハーフにしときゃよかったなあ」とか思いながら、まだまだ先はあるのだから弱気は厳禁と自分に言い聞かせる。 まっすぐに伸びたストレートの上り坂。 苦手なシチュエーション。 こいでも、こいでも、見えている目標がなかなか近づかない。あーキツイ! このスキー場近辺は表彰会場でもあるのでギャラリーも多く、レース中の見せ場でもある。 でも私には 「そんなのかんけーねー!・はいっ、オッパッピー!」って感じです。既にかなりの遅い組なわけで、格好いいとか悪いとか言っている状況ではない。 ひたすら自分との戦い。 と、その時、「店長~、ガンバッテ~!」 と力強い声援。 そうです、K藤君ファミリーの心のこもった温かい声援です。「ありがと~う!」そう叫びながら、手を振りながらスキー場を何とか通過した。 駄目になりそうな時の「ガンバッテ!」は何よりも力になる。 K藤君のご家族の皆さん有難うございました。 ただ一つ、母上の一言 「店長ガンバッテー、みんな先に行っちゃいましたよー!」 って、「解ってます。僕が最後なのは僕自身が一番解ってます!」とつぶやいてしまった。ダメダシか?(笑)   でもお母様のおっしゃる通り、やっぱり店長は遅くちゃ駄目なんですよ。 来年は見ていてください。(嘘っ来年も行くの?)

声援に励まされつつも坂は徐々にきつくなり、体力と精神力のメーターもエンプティランプが点灯する。 ゴールまでもつだろうか? 初めての体験。腰から背中が痙攣し、足の変わりに背中がつってしまった。 痛いを通り越して気持ちがハイになっている。言うことの聞かない上半身に自分で檄を飛ばす。 そもそもドクターストップに近い状態で走り出した自分だから今更止めたくはない。止めるくらいなら最初から走っていない。 後は気持ちで走るだけ。皆がゴールで待っているのだから。「頑張れ店長!」最後は自分で自分を励ます。間もなくゴールが近づいてくる。下山準備の待機場所には大勢のゴールした選手が集まっている。あと少しだ。「店長ガンバレー!」今度はメンバーの声援だ。「任せとけー!ありがとーう!」 何を叫んだかあんまり覚えていないが最後の気合を入れた。 背後ろから「あ”-、あ”-」と不気味な息使いが聞こえてくる。「何だこいつ?」と振り返ると、ゴールして待機場所まで下っていたW辺君だ。「なんだよー」と言うと「こんな奴が着いてきたらいやだろうなあ、と思って」などとふざけながら笑っている。私の背中を後押ししてくれるかのように伴走しに来てくれたのだ。 ここでまた「ありがとう」と思う。

身体全体が悲鳴をあげていた。 しかしゴールのセンサーが「ピーッ」と鳴った瞬間、すべての辛さが雪山に吸い込まれ達成感だけが心地よく残る。 さあ、みんなのいるところへ急ごう! 「お待たせしました・イケメン店長です」 頼りない店長を皆温かく迎えてくれた。 「ありがとう」 がいっぱいの今年の八ヶ岳だった。 下山の前に全員で 、「麦草峠でハイポーズ!」 

                 kiul1.jpg

長らくお付き合頂きました八ヶ岳物語。 次回の7話が最終章!  では。

コメントをどうぞ